最近読んだ本

Exhibiting Cultures: The Poetics and Politics of Museum Display

Exhibiting Cultures: The Poetics and Politics of Museum Display


ミュージアム展示(主に異文化展示)についてのアンソロジー本。
理論から実践まで、この中の幾つかの論考を中心に。
展示する者、される者の間にある政治的、文化的問題を各分野の専門家が、それぞれの視点で考察。
ミュージアムだけでなく、フェスティバルや万博についてなどの論考も。


The Changing Presentation of the American Indian: Museums and Native Cultures

The Changing Presentation of the American Indian: Museums and Native Cultures


タイトル通り、アメリカ先住民が、ミュージアムにおいてどのように展示されてきたか。
ここでのアメリカは主に北部を指すのだけれど、合衆国に限らずカナダも含む。
歴史的に見ていく論考から、ある展覧会、ミュージアムの展示実践についてのものまで。
人類学的な、いわゆる民族誌展示から、美術、芸術学的文脈において「先住民」がどのように扱われてきたのかと考察していくものもある。


これらの本を読んで思ったのは、自分が研究をもし続けた場合、博物館展示、人種表象の問題だけを扱うというよりか、美術史、芸術史におけるアート概念の変化の中で先住民文化がどのように意味付けされ、展示されてきたのかを追っていくのかな、ということ。
先住民文化と言っても様々あるその中で、いわゆる「部族工芸品」的なものがどのように扱われたのかに着目すると面白いのかもしれない。
部族工芸品は工芸品という名がついていても、例えばただの農具であったりするわけで、それを文化として扱うのか、何として扱うのかを考えることで、「もの」とアート(芸術)の境目なんかがわかったり、そこからマジョリティによる先住民への眼差しの変化なんかも照射出来るんじゃないか?なんてことも考えたり。


久しぶりに専門書を楽しんで読めました。