あやまられる

「僕なんかが応募してしまって本当にごめん」


2ヶ月ぶりくらいに出会った友人から謝られる。
1月末に、某社団法人が募集している研究助成金に応募した。
僕の知っている間だけでも、僕を含め、5人は応募している。
その中で落とされたのは僕だけ。


地域研究をしていると現地調査がつきもので、僕の研究内容でも現地に資料があるから、それを集めにいかないと行けない。
僕の場合はミュージアムの研究をしているので、そもそも現地の施設を見たことがないというのは話にならない。
その他には例えばマイナーな新聞であったり、政府や施設が保管している資料など。
必要なものは限りなく(その中から取捨選択を行うけど)、それを現地に収集しにいかないと行けないわけ。


僕に謝って来た友人は文学研究をしている。
本人曰く「まったく現地に行く必要のない研究」だそうだ。
もちろん、文学研究でも、現地に行く必要のあるものはいくらでもある。
ただ、彼曰く、彼の研究はべつにそうではないらしい、現地に行くのも半分旅行みたいになりそうだ、とのこと。
「○○という施設に行きたい」とか、小説に登場するところに云々、とかって感じだと、別の友人から聞いた。
まぁそんな内容であっても通るのは認められていると言うこと、謝るくらいなら最初から出さんといてほしいのだけど、そんなこと言えへん。



何で落ちたか、理由を考えると言うか、「言い訳」なら出来る。
僕以外が博士課程在籍者(あるいは在籍予定者)であったということ。
僕はまだ修士課程、まだ学術論文の一つも書いていない存在。
彼らには修士論文作成の経験があって、ある程度、その「研究」問うものにビジョンが持てている。
自分の研究に関して、一つの結果があるから、内容に一本の筋が通せると言うこと。
そんで、これから研究を続けられるかわからない修士課程在籍者に、修士論文作成のためのお金を出すのか。
それともこれからも研究を続けて「知」を生産する博士課程在籍者にお金を出すのか。
僕なら博士課程在籍者に出す方が、生産的なお金の使い方だと思って、そっちにウェイトを置く。


今までのは言い訳。


じゃぁ僕は修士やったから、もらえなかったのか、
そう聞かれると、言い訳としては言えるけれども、必ずしもそうではない。
そもそも、博士よりも優れた修士なんていくらでもいるわけで。
僕の場合は面接の質問でもあった「あなたの専門分野は何になりますか」、これにつきると思う。
「学」のつく学問分野ではなく、複合領域的な、領域横断的な研究をしている側としては、そこが弱くなってしまう。
うまくすすめられると、領域横断的研究は強みになるとは思っているけれど、どうしても軸がぶれると弱くなる。
僕の研究計画はそう写ったに違いない、だからそういう質問がくるわけで。
はっきり言って、研究計画がちゃんと伝わらない、僕の実力不足が生んだ結果なのだ。


だからこんな言い訳はしてられないわけで。
これからは自分よりも業績のある人たちと競争しないといけないわけですから。
そんなこと考えていたら、今作っている書類に関しても自信がなくなってくるけど。
とりあえずやるしかないから、頑張るのです。