アメリカその3—博物館展示—

あまり難しいことは書きませんが、感じたことだけ。


スミソニアン協会の航空宇宙博物館では、飛行機だとかロケットだとか、アメリカのほこる科学力の歴史を形にして展示してあったりします。
と言っても別にアメリカの国内のことだけではなくて、グローバルな単位で、その「航空宇宙」に関するものが集められて、世界でもトップクラスの博物館となております。


航空宇宙博物館は、ワシントンDCのナショナル・モール内にあるのですが、その分館がダレス空港の近くにあります。
分館の方では第二次世界大戦で使われた戦闘機から新しい戦闘機まで、ミサイルのような武器の展示やコンコルドといった旅客機、宇宙の分野で行くとスペースシャトルも。


そんな中、目を引くのがB-29戦闘機。
これがただのB-29ではなく、「エノラ・ゲイ」という名前が付けられています。
それがこちら。

(ちょっと訳あってデジカメの写真が貼れないので、荒めのiPhoneの画像で)

この戦闘機、名前を聞いたことがある人もいると思います。
何をした戦闘機であるかというと、こういうわけ。

日本に原子爆弾を落とした戦闘機です。
日本にとっては大きな意味を持つ戦闘機。
今回渡米したら必ず見たいと思っていました。

見たところでアメリカへの嫌な感情が生まれるわけでもないのですが、見た時にはやはり自分が日本人であることを確認した気がします。
しかしたかがこれだけの大きさの戦闘機(見てみると本当に小さい、もっと大きい戦闘機だと思っていた)に、別に大きいわけでもない爆弾が一つ積まれて、それがあれだけの人を殺す力があったのかと思うと何とも言えない気持ちになるというか。
「大きさ」の感覚っていうのが、そう言う気持ちにさせた気がします。


このエノラ・ゲイの展示を巡っては、展示しようという案がでた時に、凄くもめたそうです。
アメリカが自分たちの国の歴史と、世界の歴史と向き合おうとしたとき、彼らの戦争観、彼らの行いが「良い」ことであったという記憶にたいして、過去を掘り返して行かなければならないわけですから。
その展示をされると都合の悪い人たちも存在するのです、政治的に。

実際にこう言う形で展示はされたのですが、展示というのは政治的なことである。
また、展示をするっていうことは、一方で何かを見せ、そのもう一方で何かを隠すということなのかと。
そんなことを思いながら見ていました。


ここにはそんな「政治的なもの」だけでなく、本当にいろんなモノが展示されていて、とても面白いところでした。
機会があると一度訪れてみてもらいたいところの一つです。